青梅賢治の農学校・籠編みワークショップ4回目【樹木の皮を剥ぐ】

今月も、賢治の農学校の籠編みワークショップに参加してきました。今回のテーマは「樹木の皮を剥ぐ」です。くるみ、スギ、ヒノキの木で実践して、樹木の皮の剥ぎ方を学びました。画材を「買う」んじゃなくて、自然から素材を「採取」してみたい、というのが今回のワークショップに参加した1番の理由なのでとても楽しみにしていました。

この日は今年一番の暑さで熱中症アラートが出ている中、大人約20人が青梅の山中に集まりました。参加者は北海道、静岡、奈良、九州など全国各地から。こんなニッチなワークショップに、他県から、しかも北海道とか九州からも参加する方々の情熱には驚きました。

山の中に入る前に、この取り組みは命をいただくことなので無駄にしないことを山に誓い、ご挨拶をしてから山に入ります。出来上がった商品を購入しているだけだと忘れがちになってしまう大事なことですね。

はじめに、くるみの木の皮を剥ぎました。地主の80代のおじいちゃんが手伝ってくださり、危険な作業を担当してくれました。80代とは思えない身軽さで木に登り、枝を落としてくれました。参加者は、葉や実の部分などカゴ編みに使わない部分をノコギリや剪定鋏で落としました。葉や青い実は染めに使えるそうです。

くるみの皮をの剥ぎ方を教わりました。

切れ込みを広げると、「じゅわっ」と皮が剥がれる音がします。

剥がした皮は裏側を表にしてゆるく巻き、干して乾燥させます。

太い枝、細い枝もいろいろ剥いでみましたが、細い枝の方が水分の量が少なくて剥がしにくかった、傷つけやすくて難しかったです。ある程度の太さがある方が、剥がす途中で傷もつきにくく、剥がしやすかったです。今回は下準備まで。加工は次回以降のお楽しみとなります。

午前中はここで終了。この時点で疲れている方が多かったです。山はもう少し涼しいかと思っていたけれど、予想以上に暑かった。市街地と比べればコンクリートの照り返しがない分楽でしたが、風が吹くと気持ちいいけれど、少なかったですね。

午後はスギやヒノキの木の皮を剥ぎに山に入りました。スギやヒノキが生えている場所はかなりの斜面で、上まで上がるのが少し大変でした。例年は木を切り倒して皮を剥いでいたそうですが、今回は立木のまま剥ぎました。

はじめに根元の部分にチェーンソーで切れ込みを入れて、ドライバーで剥がし、

剥がしたところにロープを巻いて、離れた場所から引っ張ります。

うまくいくとかなり上の方まで剥がすことができます。これはきれいに剥がれましたね。

引っ張り方や引っ張る距離、角度などで力のかかり方が変わるし、一本一本の木によって皮の状態が違うから剥がれ方も違います。枝振りの悪い木は水の吸い上げが悪いため、剥がれにくくてすぐに千切れてしまいました。

興味深いのは、木の皮を剥ぐのに最適な時期が梅雨時で、つる系の素材は秋口だということです。木の皮を剥ぐときは木が水をよく吸い上げている時期が剥がれやすいから。一方、つる系の素材は水分が抜けてくる時期に収穫した方が干したときに痩せにくいからだそうです。どちらも理にかなっている。 植物によって収穫に適した時期が違うのは当たり前のことだけど、自然との素材を扱うということは自然に合わせる、自然の性質を活用するということで、それは整体法の健康づくりと共通していてすごく興味深いと思いました

スギやヒノキの皮は剥がした後、鎌を使って表面の荒い皮を剥ぎます。通常は茹でて下処理をしますが、今日はあまりにも暑かったのでとても火を使える状態ではなかったので持ち越しとなりました。一番表面の荒い皮(鬼皮)を剥いでから、さらに削って裏目も削り、使いやすい厚さに整えます。厚すぎると曲げにくく、薄すぎると強度が弱いので、丁度いい厚さに整える必要があります。

今回、皮を剥ぐために木を切ったりロープを結んだり、主な役割を担ってくれた80代の地主のおじいさんは、はしごで木の上まで登ったり、斜面を軽快に歩き回っていました。80代でこんなに身軽に動ける人は初めてお目にかかりました。動作に腰が入っているんですよね。子どもの頃は天秤棒を担いで川に水を汲みに行ったりする生活をしていた時期もあったそうで、やっぱり子供の頃に体を使うのは大事なんだなと思いました。参加者の中で一番高齢だけど、一番体が動くのが彼だったことは衝撃でした。

あらためて体を動かすことの大切さを実感したし、自然の、人間の可能性を感じた一日となりました。

誰も熱中症で倒れなかったので本当に良かった。次回も楽しみです。

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